浄土真宗を知る
浄土真宗を知る
2024.10.31
あるご門徒の言葉に、仰天しました。
「私、『念仏しなさい』と住職に言われ、救われました」。と明るい顔でその当時のことを私に話されたのです。
五年以上前になりますが、伴侶を亡くされ途方に暮れていたその方に、確かにそう言ったことがありました。しかし私が感じたことのない念仏に救われた喜びをさりげなく伝えられ、とても驚かされたのでした。そして、それは念仏の力(功(く)徳(どく))の証明にもなりました。
親鸞聖人は「ただ念仏して弥陀にたすけられまいらすべし」と法然上人に念仏を勧められ救われました。今にして思えば、そのことが頭にあり、苦し紛(まぎ)れに念仏を勧めたのでしょう。
親鸞聖人の弟子唯(ゆい)円(えん)大(だい)徳(とく)は『歎(たん)異(に)抄(しよう)』を著し、「本願を信じ念仏もうさば仏になる」と解(わか)れば、仏に成る道を誰もが歩めると述べています。
誤解されている方が多いと思っていますので確認しますと、
仏教は、自(じ)我(が)(エゴ)を満足させて幸せになる教えではありません。仏に成る教えです。言い方を変えると、人生を成就させる教えです。逆説的ですが、その道を歩む人生こそが「真(ほんとう)の幸せ」です。
浄土真宗を知らなかったら、高齢者の私は老病死に向い、暗い心を抱(かか)え諦(あきら)め耐(た)えるしかなかったことでしょう。ところが念仏に遇(あ)うと、その人生が輝いてくる。仏教聴聞のおかげです。
南無阿弥陀仏