お念仏の功徳
お念仏の功徳
2015.05.01
【法語】
円融至徳(えんゆうしとく)の嘉号(かごう)は悪を転じて徳を成す正智(しょうち)
親鸞聖人
境内の木々は萌えウグイスのさえずりが仏ヶ谷(ほとけがやつ)に響き渡り、寺は今、自然の息吹につつまれています。
真宗門徒の生活は、念仏申す生活です。「南無阿弥陀仏」とお念仏を称えていますか?
先日、定年退職を迎えた旧友から挨拶状が届き「今後は、健康に留意し、有意義な毎日を過ごしていきたいと考えています」と書いてありました。八年前に教員を退職した際に、私も同じような気持ちでいたことを思い出します。
ところで「PPK」をご存知ですか。
死ぬまで迷惑かけずにピンピンコロリだそうです。健康で有意義な毎日を過ごし、他人に迷惑をかけないように死にたい。そう思っているご年輩の方々が多いようです。
しかし、そんなに上手くいくはずはありません。「思い通りにならぬが娑婆(世間)」と、仏教は教えています。
法語は、親鸞聖人の著した『教行信証』の序文にあります。
「円融至徳の嘉号」は、「あらゆる功徳が円(まど)かにそなわり、無碍自在(むげじざい)に無上の徳としてはたらく妙(たえ)なる名号(みょうごう)」、「正智」は、「阿弥陀様の智慧(ちえ)」(『解読教行信証』)のことです。
「南無阿弥陀仏の名号は、悪を功徳に転ずる阿弥陀様の智慧」という意味です。
具体的には、ピンピンコロリと逝けずに寝たきりになってしまった時、阿弥陀様の智慧である「南無阿弥陀仏」が、自分の「思い」では認め難いその人生を有意義な人生へと転換するという意味です。
これがお念仏の功徳です。
念仏申す生活を、今すぐ初めてください。功徳はお念仏を称えた者の身に充ち満ちます。
念仏申す生活に生きられた曽我量深(そが りょうじん)師に「人生におけるすべての苦しみは、如来(阿弥陀様)の激励である」と、勇気が湧いてくる法語があります。
健康で有意義な人生がすべてだと思っていた時は、訳が解らない言葉でした。
2015年5月 寺報第94号より